※本記事には広告および商品リンクを含みません。道路運送車両法・国土交通省の告示および通達・日本の工業標準(JIS)・アメリカ合衆国の運輸省(NHTSA)の公開資料をもとにした解説です(確認日:2026年10月23日)。
17 桁の番号を「車台番号」だと思っている人がいます。実際はそうではありません。
日本で登録されたふつうの車は 17 桁固定ではありません。
このページでは、番号の法令上の位置づけ、国産車と輸入車での書式のちがい、17 桁の VIN で読み取れる範囲を、根拠を添えて整理します。
この記事の要点
- 車台番号は 1 台の自動車を特定するための番号で、車検証に書かれ、車体にも打刻されています。
- 打刻できる者は法律で決まっています。一般の人による打刻は認められていません。
- 打刻を塗りつぶすなどして読み取りやすくする行為は、法律で禁止されています。
- 日本で登録されたふつうの車は 17 桁固定ではありません。「型式・番号・記号」をハイフンなどで区切って並べる書式で、総桁数は 17 桁以下です。
- 17 桁の VIN は国際的な規格で、使われない文字があり、国際規格で決まっているのは一部の桁だけです。
- 車台番号だけでは事故歴や修復歴、装備の違いは分かりません。別の番号と実車の状態を見る必要があります。
1. 車台番号は、法律で定められた識別番号
車台番号は、自動車1台ごとに割り当てられる識別番号です。車検証に書かれ、車体にも打刻されています。
「車体番号」という言い方もよく使われますが、法令上の用語は車台番号です。書類で両者が別の欄として並ぶことは基本的にありません。
打刻できるのは、法律で決まった相手だけ
道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第29条第1項は、車台番号の打刻ができる者を次の3種類に限定しています。
- 自動車の製作を業とする者
- 自動車の車台又は原動機の製作を業とする者
- 国土交通大臣が指定した者
同条第2項により、この3種類の者が打刻しようとするときは、様式その他の省令で定める事項についてあらかじめ国土交通大臣に届け出て、その届け出たところに従う必要があります。
同条第3項は、国土交通大臣が必要だと認める場合に、その内容を変更することを命じられることを定めています。
一般の利用者が自分で番号を刻印したり書き換えたりすることは認められていません。陸運局への届出でも、上市公司的の手続きでもありません。
塗りつぶすことも、法律で禁止されている
同法第31条は「何人も」、車台番号や原動機の型式の打刻を塗りつぶし、そのほかの方法で識別を困難にする行為をしてはならないと定めています。
ただし、整備のために特に必要な場合など、やむを得ない場合において国土交通大臣の許可を受けた場合と、第32条の命令を受けた場合は、この限りではありません。
同法第32条は、国土交通大臣が次のどれかにあてはまるときの取り扱いについて定めています。
- 車台番号または原動機の型式の打刻がないとき
- 他の自動車の打刻と、類似のものであるとき
- 打刻が識別困難であるとき
このいずれかにあてはまる場合は、所有者に対して打刻を受ける、または塗まつすべきことを命じられるほか、国土交通大臣が自ら打刻や塗装を行うこともできます。
2. 日本の車は17桁固定ではない
「車台番号は17桁」という説明を見かけることがありますが、日本のふつうの車では固定されていません。
書式は、国土交通省の「自動車型式認証実施要領」の附則2で定められています。
打刻の様式
同要領の「自動車の車台番号又は原動機の型式の打刻届出等取扱要領」2の(1)アは、次のように定めています。
- 型式、番号、記号の順に配列する
- これらをハイフォンなどによって明確に区分する
- ただし、日本産業規格(JIS)D4901-1982「車両識別番号(VIN)」または同規格A8313-2001「土木機械-製品識別番号(PIN)」によって打刻した場合は、この限りではない
- 原動機の番号は、省略することができる
同(1)ウは、打刻の総桁数を17桁以下と定めています。
同(1)イは、同一型式の車台を使って乗用車と貨物を運ぶ自動車を製造するときは、両者が明確に区別できる打刻様式にする、と求めています。
打刻の方法は同要領2の(2)に定めています。打刻は容易に塗抹できないよう正確鮮明に行うこと、車台番号は黒皮のまま打刻することが求められます。
打刻様式の記載例としては「AUT-100001」が示されています。ハイフンの前が型式、後ろが番号という並びです。
17桁のVINは別の仕組み
17桁の英数字からなる車両識別番号をVINといいます。VINは国際的な規格で決める番号で、日本の車台番号とは書式が異なります。
JIS D 4901「車両識別番号(VIN)」は、日本の工業標準です。国際規格ISO 3779などを元和として定められています。
VINを使うのは主に、日本から出荷された新車と、日本に輸入された外国メーカー車です。日本国内向けに生産されたふつうの車は、原則としてVINではなく日本式の車台番号を使います。
3. VINの17桁は、どこまで読み取れるか
VINの17桁は、3つの区画に分けられています。
区画の区分は、国際規格およびNHTSAのVINの構造説明によるとおりです。
| 桁 | 区画 | 内容 |
|---|---|---|
| 1〜3桁 | WMI | 世界の製造元を識別する番号。国際的な統一にしたがって割り当てられます。 |
| 4〜8桁 | VDS | 車両の諸元を表す区画。どの数値を何と表すかはメーカーごとに決まっています。 |
| 9桁 | 検査用数字 | 番号の誤りを検出するための桁。並びから計算されます。 |
| 10桁 | 年式 | 製造年を表します。年ごとに1つの文字が割り当てられます。 |
| 11桁 | 工場 | 車両が完成した工場の番号。 |
| 12〜17桁 | VIS | 生産時の通し番号。工場ごとに順番に振られます。 |
国際規格で決まっているのは、1〜3桁、9桁、10桁、11桁、12〜17桁です。
4〜8桁のVDSだけは、メーカーごとに意味が違います。
同じ一文字でも、メーカーが違えば意味が違ってきます。
VINには I、O、Q の3文字は使われません。読むときに紛らわしいためです。
10桁の年式には U、Z と数字の0も使われません。
北米のVINでは、1桁目が国を表すのが慣習です。日本製のVINは1桁目が J になります。
4. 車台番号だけで分からないこと
車台番号は「どれの車か」を示す番号です。
事故歴、修復歴、装備の内容、走行距離は、車台番号には書かれていません。
車種を特定するには、次の2つの番号も併せて見ます。
型式指定番号
型式指定を受けた自動車に割り当てられる番号です。
記載方法は、国土交通省の自動車型式認証実施要領で定められています。
類別区分番号
同じ型式の中での仕様の違いを表す番号です。
同要領の記載要領には、次の定めがあります。
- 4桁の数字とする。ただし、当分の間、3桁の数字とすることができる
- 少なくとも同要領の同一型式判定要領で定める内容により、別のものとする
- 車名、型式、または原動機の型式の呼称を変更したときは、変更する
- 同一型式内で重複して使用しない
呼称が変わるだけで番号が変わるため、車台番号だけから仕様を決めることはできません。
5. 中古車で行う確認
車台番号は、整備の記録の照合にも使われます。
番号を見る場面は多くありません。確認しておくとよいのは次の3つです。
1つめは、車検証の記載と、車体に打刻されている番号が一致しているかを見ることです。
2つめは、打刻が読み取れる状態かどうかを見ることです。
塗りつぶされていたり、錆で読めなかったりする場合は、確認を始める前の状態として扱う必要があります。
3つめは、リコールなどの照合に車台番号を使うことです。
リコール情報の調べ方は、ほかのページにまとめています。
車検証の見方と保管の方法は、電子車検証の解説ページも参照してください。
6. よくある誤解
「車台番号は17桁だ」という説明をよく見かけます。
輸入車ではそのとおりですが、日本国内向けに生産されたふつうの車では17桁とは限りません。
- 「車体番号」と「車台番号」は別の番号ではありません。法令上の用語は車台番号です。
- 17桁のVINからすべての車種情報が読めるわけではありません。4〜8桁はメーカーごとの定義です。
- 車台番号に事故歴は含まれません。別の情報との照合が必要です。
- VINの9桁は車種ではなく、番号の誤りを検出するための数字です。
- 塗りつぶされた打刻は、法律で禁じられている行為の結果である可能性があります。
まとめ
車台番号は、法律で打刻の相手が決まっている番号です。
打刻の書式も、国土交通省の要領で決まっています。
日本の車は17桁固定ではない、という点は混乱しやすいところです。
車台番号と17桁のVINを同じものと考えると、輸入車の説明と国産の説明が混ざります。
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出典と確認日
出典は一次情報を優先しました。確認日は2026年10月23日です。
- 道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第29条・第31条・第32条
- 国土交通省「自動車型式認証実施要領」附則2「自動車の車台番号又は原動機の型式の打刻届出等取扱要領」
- 日本規格協会 JISハンドブック 自動車Ⅰ(基本)JIS D 4901:1982 車両識別番号(VIN)の記載
- アメリカ合衆国 運輸省道路交通安全局 NHTSA、49 CFR Part 565 VIN Decoding Document(区画構成の定義)
VINの各桁に対応する国コードの割り当ては国際規格で決まっています。
ただし4〜8桁の定義は各メーカーが定めています。
