※本記事は、広告およびアフィリエイトリンクを含まない解説です。公的機関の公開資料と法令原文をもとにまとめています。
年度途中で新しく車を買ったとき、廃車して手放したときの自動車税の計算方法を「月割課税」と呼びます。根拠は地方税法157条で、計算は「年税額×課税される月数÷12」というシンプルな式に整理できます。ただし、売り渡しによる名義変更(移転登録)やナンバーの転入・転出は月割にならず、4月1日時点の所有者にその年度分を全額課税します。この違いを知っておくと、購入時と手放し時の負担を推測せずに済みます。
この記事の要点
- 自動車税は毎年4月1日(賦課期日)を起点に翌年3月31日まで課税され、5月上旬に納税通知書が届きます。納期限は5月末日(休日なら翌開庁日)です。
- 年度途中で新規登録した場合は「登録月の翌月」から、廃車(抹消登録)した場合は「抹消登録した月まで」が課税対象です(地方税法157条1項・2項)。
- 税額は「年税額×課税月数÷12」で計算し、100円未満は切捨てます。還付金の計算は100円未満切上げです。
- 名義変更(移転登録)と県外への転入・転出は月割にならず、4月1日時点の所有者に年度分を全額課税します(地方税法157条4項)。
- 2026年4月1日から「自動車税種別割」の名称は「自動車税」に変わりました。取得時に課されていた環境性能割は2026年3月31日をもって廃止されています。
先に結論
月割課税が効くのは「新規登録」と「廃車(抹消登録)」の2つだけです。廃車した月の翌月以降の分は還付金として戻りますが、還付の申請は不要です。一方、名義変更や転入・転出では月割にならず、年度分の全額を4月1日時点の所有者が納めます。還付金と税額のどちらになるかは、この2本立てで整理できます。
自動車税は日数ではなく月数で計算します。また、廃車の起点は「車を引き渡した日」ではない点に注意してください。廃車手続きの種類によって還付の扱いが変わるので、車の廃車手続きの解説もあわせて読むと全体が掴みやすくなります。
1. 自動車税の課税期間と納期限(地方税法146条・154条〜158条)
自動車税は都道府県が課税する税金で、「主たる定置場所」(車がある都道府県)のある府県が、その所有者に課します(地方税法146条1項)。課税の起点は毎年4月1日の「賦課期日」です。
| 条文 | 定める内容 |
|---|---|
| 地方税法146条 | 主たる定置場所在の道府県が、その所有者に自動車税を課す。 |
| 地方税法154条 | 標準税率を定める。自家用乗用車は排気量区分ごとの年額が規定されている。 |
| 地方税法155条 | 賦課期日は4月1日。 |
| 地方税法156条 | 納期は5月中。 |
| 地方税法157条 | 納税義務の発生・消滅に伴う月割課税の規定。 |
| 地方税法158条 | 納税通知書の交付(納期限の10日前まで)と徴収の方法。 |
| 地方税法160条 | 新規登録・変更登録・移転登録の申請をした場合などに、申告書・報告書の提出義務。 |
実際の通知と納付はこう動きます。東京都主税局は納税通知書を「5月上旬」に送付し、納期限を「5月末日」としています。埼玉県と千葉県では、5月31日が休日の場合は翌開庁日が納期限になります。課税の対象は暦年ではなく「4月〜翌年3月」の1年間です。
2. 「月割課税」とは(地方税法157条の条文)
月割課税の考え方は地方税法157条にまとめてあります。条文の要点は次の3つです。
第1項:納税義務が「発生」した場合
「第百五十五条に規定する自動車税の賦課期日後に納税義務が発生した者には、その発生した月の翌月から、月割をもつて自動車税を課する。」(地方税法157条1項)
つまり新規登録なら「登録した月」は課税されず、その翌月からが課税期間です。7月登録なら8月〜翌年3月の8か月分になります。
第2項:納税義務が「消滅」した場合
「賦課期日後に納税義務が消滅した者には、その消滅した月まで、月割をもつて自動車税を課する。」(地方税法157条2項)
廃車(抹消登録)なら「抹消登録した月」までが課税期間です。6月抹消なら4月〜6月の3か月分が残り、7月以降分が還付の対象になります。
第4項:所有者の変更・転入・転出は月割にしない
第4項は、所有者の変更や主たる定置場所の変更について、「当該年度の末日に変更があったものとみなして」第1項・第2項を適用すると定めています。
結果として、年度途中で名義変更しても月割の按分は起こらず、4月1日時点の所有者に年度分を全額課税します。千葉県は「県内外を問わず、移転登録の場合は前の所有者がその年度1年分の自動車税を納める義務がありますので、還付されません。新所有者には翌年度から課税されます」と明記しています。東京都も同趣旨で「年度途中に他の道府県ナンバーに変更された場合でも、4月1日時点で東京都ナンバーのため、東京都が1年分を課税する」と説明しています。
3. 計算例:年額43,500円(2,000cc超2,500cc以下・自家用乗用車)
地方税法154条の標準税率では、2.0リットル超2.5リットル以下の自家用乗用車の年額は43,500円です。これを前提に、計算式「年税額×課税月数÷12(100円未満切捨て)」を当てはめます。
| 手続き | 課税月数 | 計算 | 税額 |
|---|---|---|---|
| 7月に新規登録 | 8月〜翌3月(8か月) | 43,500×8÷12 | 29,000円 |
| 6月に抹消登録(廃車) | 4月〜6月(3か月) | 43,500×3÷12=10,875円 | 10,800円 |
| 5月に抹消登録(廃車) | 4月〜5月(2か月) | 43,500×2÷12=7,250円 | 7,200円 |
| 6月抹消の還付金(9か月分) | 7月〜翌3月(9か月) | 43,500×9÷12=32,625円 | 32,700円 |
この計算は、東京都主税局が公開している「自動車税月割税額表」(令和元年10月1日以後新車新規登録)の2.0リットル超2.5リットル以下の区分(税率番号025-A)と一致します。同表の標準税率43,500円、8か月分29,000円、3か月分10,800円、2か月分7,200円と符合します。還付金だけ100円未満の扱いが異なるのは、埼玉県が「還付金の計算方法=年税額×抹消登録の月の翌月から3月までの月数÷12(100円未満切り上げ)」としているためです。10,800円と32,700円を足すと43,500円となり、年度分の年額と一致します。
なお、43,500円は法律が定める標準税率です。実際の課税額はお住まいの県の税率表で定めた額になり、車種や年度によって異なる場合があります。購入や廃車の事前に、県の納税通知書・税率表で実際の金額を確認してください。
4. 手続き別に、課税の扱い方はこう変わる
東京都主税局「自動車税の概要」は、年度途中で起きた手続きを次のように整理しています。自分の手続きがどれに当たるか、先に確認してください。
| 納税義務 | 登録の状況 | 課税の取り扱い |
|---|---|---|
| 発生 | 新規登録 | 月割課税。登録の月の翌月から年度末までの月数による課税。 |
| 消滅 | 廃車(抹消登録) | 月割課税。4月から消滅(抹消登録)の月までの月数による課税。 |
| 変更 | 所有者変更・転出・転入 | 年課税。4月1日現在の所有者にその年度分を全額課税。 |
表の脚注に「税率表の年額×課税される月数÷12=税額(100円未満切捨て)」とあります。「新規登録」「廃車」が月割、「所有者変更・転出・転入」が年課税という区別がここです。なお、廃車後の重量税の扱いは別の国家机关なので、車の税金の全体像も参照してください。
5. 申告と手続き(地方税法160条)
地方税法160条1項は、新規登録・変更登録・移転登録の申請をした場合その他、都道府県の条例で定める場合には、総務省令で定める様式により「自動車税の賦課徴収に関し必要な事項を記載した申告書又は報告書」を提出する義務を定めています。実務では、次のように動きます。
- 廃车主の起点は「引き渡した日」ではない。東京都主税局は「廃車した日とは業者等に自動車を引き渡した日ではなく、運輸支局や自動車検査登録事務所で実際に抹消登録した日となります」と明記しています。
- 名義変更・廃車は登録と併せて申告する。東京都は「自動車を譲り受けたり、廃車にした場合は、東京運輸支局又は自動車検査登録事務所にその旨を登録し、自動車税事務所に申告してください。これらの登録・申告をしませんと、前の所有者に引き続き課税されることがあります」と案内しています。
- 還付申請は不要。東京都では「還付金が発生しますと、自動的に納税義務者に還付に関する通知を送付しますので、別途還付申請の手続をする必要はありません。還付金等の通知がお手元に届くには、抹消登録等が確認されてから1か月程度かかります」と説明しています。
- 未納分があれば還付金は充当される。埼玉県と東京都はいずれも、納税義務者に未納の県税がある場合は還付金に充当されると明記しています。
- 受領方法は金額で異なる。東京都の例では、5万円以下はゆうちょ銀行からの「振替払出証書」、5万円超は口座振替依頼書の郵送となります。
- 4月中の廃車は別扱い。和歌山県は「4月中に廃車した場合に限り、5月下旬に差額分の納付書をお送りします」と説明しています。年度当初に廃車するなら差額納付の送付日を確認してください。
6. 混同しやすい自動車重量税・環境性能割との違い
| 項目 | 自動車税(2026年4月から) | 自動車重量税 |
|---|---|---|
| 課税する者 | 都道府県 | 国(国税) |
| 根拠 | 地方税法 | 自動車重量税法 |
| 課税のタイミング | 毎年4月1日の賦課期日に、その年度分を課税。月割課税の規定がある。 | 自動車検査証の交付等を受ける者が、交付等の際に納付(自動車重量税法4条・8条)。 |
つまり自動車重量税は保有期間ではなく、車検証の交付等という手続きをきっかけに納付する税金で、月割課税の対象ではありません。自動車税・自動車重量税・自賠責保険を横に並べた比較は車の税金はいくら?自動車税・重量税・環境性能割・自賠責の違いにまとめています。
取得時に課されていた環境性能割は、令和8年度税制改正により「自動車税環境性能割及び軽自動車税環境性能割は、令和8年3月31日をもって廃止する」こととなりました(国土交通省「令和8年度税制改正の大綱(抜粋)」)。2026年4月1日以降に取得する車には、環境性能割としての納付は発生しません。廃止と名称変更の内容は環境性能割の廃止とEV・PHEVの重量課税の解説で整理しています。
7. 2026年4月1日から「自動車税種別割」は「自動車税」に変わった
同じ税制改正で、現行の自動車税種別割は「自動車税」と名称が変わりました。国土交通省「令和8年度税制改正の大綱(抜粋)」は「これに伴い、現行の自動車税種別割を自動車税とし、現行の軽自動車税種別割を軽自動車税とするなど、所要の措置を講ずる」としています。東京都主税局のトピックスも「令和8年4月1日より、自動車税種別割は自動車税へ名称が変更されました」と掲載しています。
名前が変わったのは「種別割」という語が使われなくなっただけで、課税の起点も計算方法が変わりません。自治体の案内や保存済みの書式に「自動車税種別割」と書かれていても、2026年4月1日以降の課税を説明しているものなら「自動車税」と読み替えて問題ありません。排気量ごとの概算額を確認したい場合は車の税金計算ツールも利用できます。
よくある質問
廃車したら自動車税は戻ってくる?
戻ってきます。抹消登録した月の翌月以降の分が還付対象で、申請は不要で通知が自動送付されます。起点は廃車の日ではなく抹消登録日です。
名義変更したのに前の人に税金通知が来たのはなぜ?
所有者が変わる手続き(移転登録)をしても、年度分の税額は4月1日時点の所有者に課税されます。変更した側が自動車税の申告を忘れると、前の所有者に課税が続くことがあります。手続きの内容は車の名義変更の手順で確認してください。
中途で買い替えたい。2台分を支払う?
新車の新規登録分と、売り渡す車の月割分は別々に計算されます。売り渡す車の旧所有者は年度分の全額を納めたうえで、翌年度から新所有者に課税が移ります。売買の契約では税額相当分を別途精算するのが基本です。
自家用車と事業用車(営業用車)で計算は同じ?
月割の考え方は同じですが、標準税率が違います。地方税法154条は乗用車を営業用と自家用に分けて定めており、営業用乗用車の2.0リットル超2.5リットル以下の年額は13,800円、自家用は43,500円です。年額が違うため、同じ月数でも税額は大きく変わります。
まとめ
- 月割課税の根拠は地方税法157条。課税期間は「4月1日の賦課期日」から「翌年3月31日」です。
- 新規登録は登録月の翌月から、廃車は抹消登録した月までが課税対象。
- 計算は「年税額×課税月数÷12(100円未満切捨て)」。還付金のみ100円未満切上げ。
- 名義変更・転入・転出は月割にならず、4月1日時点の所有者に年度分を全額課税。
- 還付申請は不要。抹消登録の確認後、通知が自動送付されます。
- 2026年4月1日から名称は「自動車税」。環境性能割は2026年3月31日をもって廃止。
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出典と確認日
以下の法令・公的機関の公開資料をもとに記載内容を確認しました。確認日は2026年11月2日です。
- e-Gov法令検索「地方税法」(昭和25年法律第226号)第145条・第146条・第147条・第154条〜第158条・第160条(https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226)
- e-Gov法令検索「自動車重量税法」(昭和46年法律第89号)第3条・第4条・第8条(https://laws.e-gov.go.jp/law/346AC0000000089)
- 東京都主税局「自動車税の課税について(一般的な質問について)」(https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shitsumon/automobiles/j)
- 東京都主税局「自動車税の概要」(https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/automobiles/shubetsu)
- 東京都主税局「自動車税月割税額表(令和元年10月1日以後新車新規登録)」(https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/tax/zikayou201910)
- 埼玉県「自動車税のしくみ」(https://www.pref.saitama.lg.jp/b0216/jz-jizei/index.html)
- 千葉県「自動車税」(https://www.pref.chiba.lg.jp/zeimu/aramashi/shurui/jidousha/)
- 和歌山県「自動車税のよくあるご質問」(https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/010500/kenzei/jidousha/jidousha_otoiawase.html)
- 国土交通省「令和8年度税制改正の大綱(抜粋)」(https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001993968.pdf)
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要」(https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_gaiyou.pdf)
未確認:実際の年額は各県の条例・税率表で定められた額であり、本文の計算例は地方税法154条の標準税率(自家用乗用車・2.0リットル超2.5リットル以下=43,500円)を使った例示です。県ごとの実際の課税額、還付通知の送付目安(本文は東京都の例)、および重量税のエコカー減税の適用結果は、納税通知書と各県の案内で確認が必要です。
